国会議員の支持率などでは、
安倍晋三官房長官(51)に大きく水を空けられている
麻生太郎外相(65)。だが、9日の東京・
秋葉原での街頭演説=写真=では他候補を“圧倒”するなど、「いよいよ
麻生劇場開幕か」との声も。明日14日には、お年寄りの聖地として知られる東京・巣鴨の地蔵通り商店街で遊説を行うが、果たして旋風を巻き起こせるのか。
麻生氏を直撃した。
――選挙戦も中盤に入ったが、手応えは
「地方では『こいつよく分かってるな』と支持を受けていると思う。この7、8年で、東京は景気がよくなったが、地方はそんなに回復していない。IT時代で、一気に若者の仕事は増えたが、逆にたたき上げできたオジサン達の仕事が飛んでしまったという現実もある。だから、政府として最低限のインフラや環境は整えていかないといけないんだ。永田町の空気は、若干、違うのかもしれんが」
――週刊誌やスポーツ紙などでも取り上げられたが、東京・
秋葉原の街頭演説はまさに“圧勝”だった
「実際、オレもあんなにウケるとは思わなかったよ。前のほうにいた自民党員とおぼしき人たちもゲラゲラ笑っていたし(笑)。ただ、言えるのは、政治家はその場の空気を読んで、そこに合った話ができなければダメ。それは、国内政治はもとより、さまざまな駆け引きのある国際政治でも言えることだ」
――14日は、
アキバとは対照的な巣鴨での遊説を予定しているが
「実は、巣鴨地蔵通り商店街は政調会長時代から目をつけている場所なんだ。日本の商店街のなかで規模が拡大しているのはココともう1カ所だけ。共通点は、65歳以上向けに、平屋の店が並んでること。だって、耳かきの店に行列ができてるんだよ。竹を削った原価ほとんどゼロの耳かきが、1本2500円で1日に20本も売れる。オレも買って愛用してるんだけどね。これが気持ちいいんだよ(笑)」
「要するに、85%のお年寄りは元気で、お金も時間もある。こうした高齢者の活力を経済に生かすことが重要で、それが日本の経済成長につながる。まさに、とげぬき地蔵の商店街は見てくれはよくないが、アイデアの宝庫。これからの日本をよくするキーポイントになる、宝の山だといえる場所なんだ」
――
麻生太郎が首相になると、サラリーマンにはどんなメリットが
「昔に比べて豊かになったというが、相変わらず混んでる通勤電車に1時間乗らなきゃいけない。大きなテレビを買ったけど置く場所がない。4畳半から出てきてジャガーに乗ったりね。だからオレは『豊かさを実感できる社会』をめざす」
――そうは言っても、なかなか実現は難しい
「そんなことはない。例えば、空間倍増。千代田、新宿、港区は合わせて米国のマンハッタン島とほぼ同じ大きさだが、向こうには木造モルタル2階建てなんてないのにこっちにはある。これを高層にすればそれだけ空間が増える。要するに、今、実際に住んでいる人たちの住宅環境もよりよくなるような規制緩和を行えばいい。これなら、政府としてのコストは全くかからない。アイデアはいくらでもある」
――財政再建のため、すぐに消費税を上げるべきだとの議論があるが
「考えてみてほしい。橋本内閣当時、消費税を上げるなど合計9兆円の増税をした。しかし、実際には景気が減速して2兆円の減収になってしまった。だから、今じゃない。だって、まだ支出も切らなきゃいけない部分がたくさんある。そうしたことを終えて、経済の名目成長率で2%以上という年が続いて国民の理解を得てから、7%なり8%に上げればいい」
――他候補に比べて
麻生さんの強みは
「会社を経営していたこと。つぶれた石炭会社をセメント会社に作り替えた。国というのは入ってくる税金が売り上げ。売り上げの範囲でコストを下げれば利益が出る。会社と同じだ。それと、これは大久保利通から数えて5代目という血かもしれんが、ピンチを見たら放っておけない。負けるケンカでも戦わなきゃいけないと思うとこかな」
――最近は“ちょい不良(わる)オヤジ”といわれるが
「まあ、昔から不良であったことは間違いないな。いまでも不良中年。いや、老年か。ただ、こう見えても、オレ勉強はけっこうできたのよ(笑)」
――女性などからは「存在感がワイルド」といった評価もある
「ワイルド? マイルドじゃないの? ただ、同窓会に出ても分かるが、若くて元気なやつには共通点がある。あの時代ワルだったやつら。あと、話をしている最中でも、若いキレイな女性がきたらパッと目が動く。これがなくなったら終わりだね(笑)」
――最後に、逆転に向けての秘策は
「秘策はない。ただ、政策を訴えていくのみ。地方では手応えがあるので、今週末に議員が地元に帰って、地元の人から『
麻生はいい』という声を聞き、投票してくれれば素晴らしい」
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テーマ : 2006自民党総裁選
ジャンル : 政治・経済