☆カラジ (Karasi)=オーストラリア
せん・13歳・鹿毛 (1995年 アイルランド産)
父 : Kahyasi
母 : Karamita(母の父:Shantung)
馬 主 : P.モーガン氏
調教師 : E.マスグローヴ師
騎 手 : B.スコット
戦 績 : 通算97戦16勝(うち障害18戦9勝)
主な勝ち鞍 : 2007年 中山グランドジャンプ
2006年 中山グランドジャンプ :1着
2005年 中山グランドジャンプ:1着
2004年 グランドナショナルハードル:1着
2004年 オーストラリアンハードル 1着:
今TVで紹介されて話題の「ナカモつけてみそかけてみそ」名古屋の味一度食べてみては? オーストラリアのカラジは、今や日本の競馬ファンの間でも知名度抜群の競走馬です。昨年まで中山グランドジャンプを3連覇。12歳での優勝は、カラジ自身が昨年記録したJRA史上最高齢勝利記録を塗り替え、さらに障害競走の同一重賞3連覇は、中山大障害が年2回施行されていた当時(1998年まで)の中山大障害(秋)を3連覇したバローネターフ(1977年~79年)以来史上2頭目の快挙となりました。今年は4連覇を目指して来日、過去3年と同様に、このペガサスジャンプステークスをステップレースとして大一番に向かいます。
カラジの過去のペガサスジャンプステークス(OP 3,350m)での成績は、2005年が3着、2006年が2着、昨年が3着と、中山グランドジャンプを3週間後に控え、いずれも余力を十分に残したパフォーマンスでした。騎手はいずれもB.スコット。オーストラリアを代表する名ジャンプジョッキーで、中山グランドジャンプを3連覇したすべての騎乗もB.スコットでした。
日本での初出走となった2005年のペガサスジャンプステークスは、単勝15.8倍の6番人気でしたが、最内の5番手で障害を飛越しながら追走、最終コーナーで外に持ち出し差を詰め、優勝馬バローネフォンテンから3/4馬身、1馬身差の3着に入線しました。このときの馬体重は430キロ。カラジは小柄な馬体で、レース出走時での馬体重に関しては、変動がほとんどないのも大きな特徴です。中山グランドジャンプ3連覇は、すべて430キロ。2006、2007年のペガサスジャンプステークスは、いずれも432キロ。日本で出走した過去6レースの馬体重は、430~432キロで、激しい馬体重の増減は見られませんでした。
2005年の中山グランドジャンプは、単勝3.4倍の1番人気に推されます。レースは曇り、良馬場の16頭立てで行われ、カラジは好位につけ終始内側の経済コースをとり、低く安定した素早い飛越でレースを進め、レース半ばで2番手につけると、ゴール前で抜け出し、人気に応えました。2着のチアズシャイニング(5番人気)に1馬身1/4の差をつけ、勝ちタイムの4分50秒4でした。この優勝が評価され、2005年8月に、晴れて2004/05年シーズン(2005年7月末閉幕)のオーストラリア最優秀ジャンプホースに選出されました。
その後カラジは8ヶ月余りの休養を経て、オーストラリアで平地レースを6戦して来日。2006年度日本での初戦となるペガサスジャンプステークスは、2006年3月25日、中山の障害コース芝3,350mのコースで行われ、B.スコット騎乗で単勝5.7倍の4番人気でした。カラジは13頭立ての中位追走から徐々に進出し、テレジェニックから3馬身差の2着に入りました。トライアルとしては、上々のレース結果を残しました。
こうして臨んだ2006年の中山グランドジャンプは4月15日、中山の障害コース芝4,250mに15頭が出走して行われ、2005年12月の中山大障害(J・GI)を圧勝し、前走の阪神スプリングジャンプ(J・GII)にも勝利したテイエムドラゴンが、単勝2.3倍の1番人気。B.スコット騎乗のカラジは単勝3.2倍の2番人気。外枠14番からのスタートとなったカラジは後方に控える戦法から中盤で大竹柵を飛越してから一気に浮上。最終コーナーを先頭で回ると、これをマークするテイエムドラゴンが2番手に上がり、直線2頭の激しい追い比べとなります。テイエムドラゴンは外からよく差を詰めましたが、これをクビ差抑えてカラジが2連覇を達成しました。天候は晴れ、良馬場の勝ちタイムは、2005年優勝時より0秒4遅いだけの4分50秒8でした。この2連覇が評価され、2005/06年の豪州シーズン終了直後の2006年8月に、カラジは2年連続で最優秀ジャンプホースに選出されました。
そして昨年も、過去2年同様にペガサスジャンプステークスに出走。単勝5.0倍の2番人気に推され、好位からレースを進める従来のパフォーマンスを披露。優勝馬メルシーエイタイムから1/2馬身、クビ差の3着に入線します。
このレースをステップレースとして臨戦態勢を整え、第9回中山グランドジャンプに向かいます。レースは15頭立て、カラジは単勝2.2倍の1番人気に支持されます。5枠9番からの発走となり、スタート後しばらくは中団につけてレースを進めると、レース半ばの大いけ垣を飛越してすぐ2番手に浮上。最終コーナーで余力を残しながら先頭に立つと、2着のリワードプレザンの追い込みを3/4馬身おさえて3連覇の偉業を達成しました。最終障害を飛越した後に多少着地が乱れたものの、低い重心でスピードに乗った無駄のない飛越はなお健在であることを示したレース内容でした。また、常に最内の経済コースでレースを進め、勝負どころで外側に持ち出して、タイミング良く後続を引き離すB.スコットの騎乗もカラジの3連覇に大きく貢献していることは疑う余地がありません。天候は晴れ、良馬場の勝ちタイム4分50秒4は、2005年優勝時と同じ勝ちタイムでした。
中山グランドジャンプ2連覇は、2000年(第2回)、2001年(第3回)にゴーカイが達成していますが、3連覇はカラジが初めてとなります。また、外国馬の優勝はセントスティーヴン(2002年)とカラジの2頭で、9回の開催のうち4回。いずれも豪州馬の優勝となります。
しかし2006/07年の豪州シーズンの最優秀ジャンプホースには、グランドナショナルスティープルチェイスと並んでオーストラリアのジャンプレース最高賞金のグランドナショナルハードルを制したサムアーベントが選出され、カラジは3シーズン連続での受賞を逃しました。
カラジは1995年2月20日生まれのアイルランド産です。当初はアガ・カーン4世の生産所有馬として英国の平地に出走し、ハンデ戦など9戦3勝してから豪州へ。1999年3月の豪州初出走から2003年7月まで平地レース専門に出走し、2000年5月のアデレードC(豪G1、芝3,200m)では2着と好走しました。
カラジがジャンプレースに向かったのは、2004年半ばに現在の馬主、調教師のもとへ移されてからのことです。ジャンプレースに転向後すぐに頭角を現し、2004年6月には主要レースのオーストラリアンハードル(サンダウン競馬場、3,400m)を6馬身差で圧勝。同年には、他にグランドナショナルハードル(モーフェットヴィル競馬場、3,500m)やヤランバクラシックハードル(オークバンク競馬場、3,600m)といった主要レースでの勝利があります。
昨年の中山グランドジャンプを勝ったあと休養入りしたカラジは、前年と同様、長い休養(8ヶ月半)を経て、レースに復帰したのは2007年12月30日、ヴィクトリア州のウォーナンブール競馬場で行われたウッドフォードゴールドC(平地、1,700m)。11頭立てのこのレースは、J.ヒルが騎乗し、優勝馬フレッシュブリーズから大差となる10着に終わります。さらにその後今年1月の平地競走2戦(1,794m、1,800m)も10馬身差以上離されて、それぞれ7頭立ての7着、10頭立ての9着に終わります。2月も2戦消化しますが、16日ムーニーバレー競馬場でのFCMトラベルハンデ(平地競走、2,500m)も13頭立て12着、この後29日に行われた平地競走、ページズイベントイクイップメントハンデ(ムーニーバレー競馬場、2,500m)も10頭立ての10着という結果に終わります。しかし、来日直前の3月5日の平地競走、ザトランプハンデ(サンダウン競馬場、2,400m)は11頭立ての9着であったものの、優勝馬ウィナーズアーグリナーズとは6馬身の着差にとどめ、来日に向けて順調に調整を続けています。
来日前の平地競走が不振な成績を残すのは、管理しているマスグローヴ師がレースを使って体調を上向かせる調教方法を採用しているためで、過去3年間も同様のスタイルで来日前の調整を行なっています。
今年も中山グランドジャンプ優勝の最有力候補の1頭として、ペガサスジャンプステークス、中山グランドジャンプのレース振りに注目が集まります。
<血統>
父のカヤージは本馬と同じアガ・カーン4世の生産馬で88年の英ダービー馬。平地競走の代表産駒にアスコットゴールドCのエンゼリ、仏オークス勝ちのザインタとヴェレーヴァなど。母のカラミタは英GIIIプリンセスロイヤルSを勝ち、産駒に仏GI勝ちのカルタヤナがある。母の父は名種牡馬のシャンタン。
カラジ号 成績
全97戦16勝、2着9回、3着11回 (内障害18戦9勝、2着2回、3着5回)
総獲得賞金:約3億6,880万円 (3,747,283 AUS$ 【1AUS$=98.4245円】)
カラジ号 関係者プロフィール
☆馬主:ピアース・モーガン氏(Pearse Morgan)
1958年8月24日生まれ。オーストラリア国籍。職業は公認会計士。
彼の父親が、オーストラリアのヴィクトリア州で50年間、馬の育成業務に携わっていたため、1981年から馬主となった。1983年以降同州カントリー地区のモエ競馬場を主催するモエ・レーシングクラブの取締役も務める。
なお、カラジ以外にも、2006年のVRCオークス(G1)で4着に入ったフジファンタジー(フジキセキ産駒)を所有。趣味は家族とラグビー観戦(AFL)で、メルボルンのクラブチーム『St Kilda』の大ファン。
☆調教師:エリック・マスグローヴ(Eric Musgrove)
1951年8月17日生まれ。オーストラリア国籍。
1980年まで国際的な障害馬術競技の選手(オリンピックの代表メンバー)として過ごし、その後、調教師に転身した。中山グランドジャンプには、4年連続の参戦となり、管理馬の出走は延べ6頭目となる。
また、2002年に豪州競馬史上初の障害400勝調教師となり、翌年に豪州障害競馬界から表彰を受けた。過去に豪州メトロポリタンの障害調教師リーディングを7年連続獲得(通算では9回獲得)。2006年から始まった豪州障害競馬のシリーズ戦『J.J.ホウラーン障害チャンピオンシップ・シリーズ』の調教師部門では、第2位、2007年は第3位と2年連続ベストスリーを獲得している。
主な勝鞍は、中山グランドジャンプ05&06&07(日)、グランドナショナルスティープルチェイス、オーストラリアンスティープルチェイス、オーストラリアンハードル、メルボルンカップハードル(以上、豪)等々、豪州の主要な障害競走のほとんどに優勝している。
☆騎手:ブレット・スコット(Brett Scott)
1971年1月13日生まれ。ニュージーランド国籍。
1988年デビュー、現在はメルボルンを拠点として騎乗。中山グランドジャンプには、2003年以来6年連続の参加(通算で今回が7回目)。カラジで中山グランドジャンプ3連覇を達成し、風車ムチを使用した騎乗スタイルで日本のファンにもおなじみ。
主な勝鞍は、中山グランドジャンプ05&06&07(日)、グレートノーザンハードル、グランドナショナルスティープルチェイス(以上、NZ)、グレートイースタンスティープルチェイス、グランドナショナルスティープルチェイス、グランドナショナルハードル、ヒスケンススティープルチェイス(以上、豪)等多数。
オセアニアを代表する障害騎手であり、『J.J.ホウラーン障害チャンピオンシップ・シリーズ』の騎手部門で2007年に第2位を獲得している。趣味はゴルフとバイク。
http://www.jra.go.jp/news/gaikokuba/2008/nakayama01.html#01