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フリードニア (Freedonia)=フランス
牝・4歳・鹿毛 (イギリス産 2002年2月22日生まれ)
父 : Selkirk
母 : Forest Rain (母の父:Caerleon)
馬 主 : ニアルコス・ファミリー
調教師 : J.ハモンド師
騎 手 : T.ジレ(予定)
戦 績 : 通算7戦3勝
主な勝ち鞍 : ポモーヌ賞 (仏G2、2006年)
ターフクラシック招待S(米G1、2006年)2着
フリードニアは、フランスを本拠地とするニアルコス・ファミリーによって英国で生産され、シャンティイ(フランス)のジョン・ハモンドきゅう舎に預託されました。ここまで戦績はわずか7戦で、G2の1着とG1の2着があり、3着を外したのは1回だけ、それもG1の4着と堅実な成績を残しています。
2歳戦はパスし、初出走は3歳時の2005年6月1日、パリのロンシャン競馬場で行われたラセルサンクルー賞(芝2,200m)。これは3歳牝馬限定の一般戦で10頭によって争われ、勝ったバランキヤから3-1/2馬身差の3着でした。騎手はT.ジレ。良馬場の勝ちタイムは2分26秒9。
次いで2005年6月24日、パリから北西へ、英仏海峡に面した港町のディエップ競馬場へ向かい、3歳牝馬限定の一般戦(芝2,400m)に出走すると、レイノサに3馬身の差をつけて初勝利を飾りました。レースは11頭立て。T.ジレの騎乗で、良馬場の勝ちタイムは2分34秒0でした。
これで3歳戦を終えると、4歳の今年は5月10日、地元のシャンティイ競馬場のクロドゥラバール賞(4歳限定一般戦、芝2,500m)からスタート。レースは8頭で争われ、勝ったセントリーデューティーから1/2馬身差の2着でした。騎手はT.ジレ。重馬場の勝ちタイムは2分45秒9と、標準タイムから10秒ほどかかっています。
次いで6月11日、同じシャンティイのブルゴーニュ賞(一般戦、芝2,400m)に出走すると、2着のキトンとクビ差の接戦の末、勝利します。レースは4歳上の9頭で行われ、T.ジレの騎乗で単勝2.6倍と人気になっていました。良馬場の勝ちタイムは2分28秒9。
続くレースは仏G2のポモーヌ賞。夏のバカンス競馬の中心地、ドーヴィル競馬場に3歳上の牝馬9頭を集め、8月6日に行われました。
フリードニアはゆっくりゲートを出ると、後方に控えたまま7番手で最後の直線へ。外ラチ寄りを通って上昇を開始し、残り200mで先頭に立つと力強く伸びて優勝を飾りました。2馬身差2着のモンターレは、G2勝ち馬としてこのレースに出走し、この後10月のロイヤルオーク賞(仏G1、ロンシャン競馬場、芝3,100m)を制してG1ホースとなります。ポモーヌ賞の
フリードニアは、T.ジレの騎乗で、単勝10.2倍の穴人気に推されていました。芝2,500m、良馬場の勝ちタイムは、2分39秒2で、標準タイムより、1秒7ほどかかっています。
このあと、9月10日、ロンシャン競馬場の3歳以上牝馬によるヴェルメイユ賞(仏G1、芝2,400m)で、G1初挑戦となります。1番人気は、前走のアスタルテ賞(仏G1、ドーヴィル競馬場、芝1,600m)を決め手鋭く勝ったマンデシャで、T.ジレ騎乗の
フリードニアも人気サイドに推されていました。
レースは直線入り口7番手から、マンデシャ(C.スミヨン騎乗)が鮮やかに差し切り、このあと一時、追加登録料6万ユーロ(約900万円)を支払い、
凱旋門賞への出走も予定されていましたが、結局見合わせ、
凱旋門賞当日のオペラ賞(仏G1、ロンシャン競馬場、芝2,000m)へ向かいます。マンデシャは、本年の英・愛オークスを含むG1で3勝を挙げているアイルランドのアレクサンドロヴァを3着に退け、今年の欧州ベスト3歳牝馬であることを示しました。
フリードニアのヴェルメイユ賞敗退は、その名牝相手で勝てなかったのですから無理はありません。フリードニアは、好位マークから4番手で直線に向くも、内で包まれて抜け出せず、そのまま4着に敗れました。着差は3馬身1/2。前走で負かしたモンターレ(2着)からは2馬身差でしたが、前がふさがる大きな不利がなければ、十分に2着の可能性はありました。良馬場の勝ちタイムは、標準タイムよりも2秒3も速い2分29秒2。この日同じ芝2,400mで行われたフォワ賞(仏G2)は、シロッコ、ハリケーンラン、プライドの1~3着で勝ちタイムは2分31秒9。3歳戦のニエル賞(仏G2、芝2,400m)は、
凱旋門賞優勝馬のレイルリンクが制し、勝ちタイムは2分31秒9。
ヴェルメイユ賞の勝ちタイムは、この両レースより2~3秒余りも速く、マンデシャが
凱旋門賞に出て好勝負になるのではないかとされた背景には、勝ちタイムの優秀さもありました。そのマンデシャに、不利がなければ肉迫するレースができたはずのフリードニアの価値も上がることになります。フリードニア自身、2分29秒台の好タイムで走っています。
このあと、フリードニアはアメリカに向かい、
ターフクラシック招待S(米G1、芝2,400m)に出走します。レースはニューヨークのベルモントパーク競馬場に7頭を集めて行われ、本命のイングリッシュチャンネルが4番手追走から抜け出し、快勝。T.ジレ騎乗のフリードニアは単勝4.05倍の3番人気に支持され、5~6馬身からよく差を詰め、2着を確保しました。フリードニアは4歳牝馬といっても明らかな晩成型で、これからさらに強くなりそうで、
ジャパンカップでも注目の存在となります。
(血統)
父のセルカークは、名種牡馬シャーペンアップの直仔で、英G1のクイーンエリザベスII世S(1991年)勝ち馬。産駒に英2000ギニー(G1)のウィンス、愛セントレジャー(G1)のカストリアなど。母のフォレストレインは、5戦2勝。母の半弟に、2002年のBCマイルで、ロックオブジブラルタルのG1・8連勝を阻んだドームドライヴァーがいる。祖母のナポリは仏準重賞2勝、仏G3で3着。母の父カーリアンは仏ダービー馬(1983年)で名種牡馬。
フリードニア号 関係者プロフィール
☆馬主:ニアルコス・ファミリー
欧米で有名なギリシャの船舶王スタヴロス・ニアルコス氏(1909年7月3日ギリシャ生まれ)が創った馬主・生産・育成組織。彼が96年に他界してからは個人名義からニアルコス・ファミリーへ変更された。
ニアルコス氏が競馬に携わりはじめたのは1950年代。1956年にパイプオブピースが英2歳チャンピオンになり、翌年のダービー3着になる。その後、フランスに拠点を移し、キーンランドのセールで最高値をつけてヌレイエフを購入、2000ギニーで1着したものの、レース後降着になる。しかし、種牡馬として大成功し、ミエスクなどの優秀な産駒を輩出している。その外、エルナンド、キングマンボ、マキャヴェリアンなど数多くの活躍馬を所有。子供はフィリップ、スパイロス、コンスタンティンの息子3人と娘のマリア。
健康状態が優れなくなってからは、主に娘のマリアが長年のレーシング・マネージャーであるアラン・クーパー氏とともに切り盛りしてきて、ニアルコス氏が亡くなった後もこの体制は変わっていない。仏のノルマンディー地方と米国ケンタッキー州に生産牧場を所有し、エルナンド、キングマンボ等はそこの自家生産馬。現役馬は、年間40頭程に留められ、1953年以降ニアルコス氏所有馬を預託されていたフランソワ・ブータン師が、1995年に他界するまで、ほとんどの馬を管理していた。
2004年フランスにおいて、バゴでパリ大賞典、
凱旋門賞等G1を制し、104戦22勝、約228万ユーロ獲得し賞金1位。昨2005年は同じくフランスで、バゴでガネー賞、ディヴァインプロポーションズで仏1000ギニー、仏オークス等を制し130戦22勝、約155万ユーロ獲得し賞金5位。今年は11月13日現在で、101戦13勝、約49万ユーロ獲得し賞金17位。
94年ドルフィンストリートで京王杯SC4着、安田記念3着、同年14回JCにエルナンドで4着、15回JCに同馬で3着。昨年の25回JCにバゴで8着。
フリードニアはアメリカではフラクスマンステーブルの馬主名で出走している。
フラクスマンステーブルはニアルコス・ファミリーのアメリカにおける馬主名。
☆調教師:J.ハモンド師
1960年6月27日、英国ロンドン生まれ。ダブリンのトリニティ大学卒業。
1987年調教師免許取得。
アイルランドのドリーパー調教師、ニューマーケットのパトリック・ハスラム調教師やカリフォルニアの知人の獣医に調教やきゅう舎管理、きゅう舎経営を学ぶ。その後フランスのファーブル調教師の下で修行を積む。そして87年には独立し、2年目にはウィルデンシュタイン氏に目をかけられ彼の60頭以上もの競走馬の管理を任される他H.シャルーブ氏、モハメド殿下や、ニアルコス氏の馬を管理するようになる。
イギリスで生まれ、アイルランドで学んでいるが、現在の拠点はシャンティイ。フランスでの生活を楽しんでおり、当面イギリスに帰る予定はないとか。
これまで、最高の年はスアーヴダンサーで仏ダービー、愛チャンピオンS、
凱旋門賞を制した91年と、モンジューで仏ダービー、愛ダービー、そして凱旋門賞を制した99年。この年モンジューは欧州のホースオブザイヤーを受賞している。主な勝鞍にはこのほかに、ディアドクターで挙げたアーリントンミリオン等がある。
12回JCにディアドクターで参戦3着。15回JCに前年に続いて出走してきたエルナンドをブータン調教師から引き継いで3着。19回JCにモンジューで4着。
今年11月15日現在、フランスにおいてフリードニアで挙げたポモーヌ賞(G2)を含め191戦23勝、約81万ユーロ獲得し賞金23位。昨2005年は165戦20勝、約67万ユーロ獲得し賞金29位。
☆騎手:T.ジレ
1969年12月20日生まれ。家族は、妻と子供二人。
1986年1月に騎手免許取得。同年3月に初騎乗。6月にベルヴィレで初勝利をあげる。
メゾンラフィットにきゅう舎を構えるレイモンド・トフラン調教師のもとで見習い騎手として過ごした後はジャン・ベルトラン・ド・バランダ師のもとで働き、現在ではロベール・コレ、ジョナサン・ピーズ、ジョン・ハモンド調教師の管理馬に騎乗することが多い。ペリエ騎手が怪我の間、ファーブルきゅう舎の馬にも騎乗していた。
今までの主な活躍馬には99年にG3競走3勝、仏オークス2着のスターオブアカール、96年仏ダービー2着のルデスタン、99年香港ヴァーズ2着のバンボラ、2001年クリテリウムアンテルナショナル及び2002年リュパン賞勝ちのアクトワンの他、最近ではエクシキュートでガネー賞そしてバゴで凱旋門賞、スィートストリームでヴェルメイユ賞等を制している。
昨年は、フランスにおいてバゴで挙げたガネー賞等を含め536戦62勝、約340万ユーロ獲得し、勝鞍11位、賞金4位。今年は11月8日現在フリードニアで挙げたポモーヌ賞(G2)を含め337戦、32勝、約148万ユーロ獲得し勝鞍26位タイ。賞金11位。
第23回JCにタイガーテイル騎乗、タップダンスシチーの6着。昨年の
ジャパンカップはバゴに騎乗し、8着。
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