長州小力のお陰でブレイクした
長州力。その波及効果はまさに想定外で、遂には長州と小力をモデルにしたパチスロ機まで登場してしまうというわけの分からない小力特需状態である。
以前は長州といえば
プロレスがバラエティ番組的に取り上げられることを嫌悪しており、山田邦子などを怒鳴りつけて泣かすというコワモテ伝説を作ったりしていたのだが、これも時代の流れなのだろうか。
今ではすっかり小力効果におんぶにだっこでバラエティ番組に積極的に出演。そんな老いた長州のどこに革命戦士の面影を感じればよいのだろうか…。
さて、そんな小力効果に湧く 『萎んでしまった
プロレス業界』 に、次なるブレイクレスラーが現れた。
その人物こそ 『侍・
越中詩郎』 である。
これは深夜番組で
ケンドー・コバヤシが笑いのネタとして越中を取り上げ、主に越中の得意技であるヒップアタックの滑稽さをフューチャーして地味~な人気を呼んでいた。
それがここに来てケンコバの面白さが幸いして当の越中自身にも光が当たるようになってきたのだ。今ではケンコバ効果で、どこの会場でも今までになかったほどの越中人気だという。
越中詩郎といえば1979年に全日本
プロレスでデビューし、当時は現ノア代表の
三沢光晴の好敵手として活躍していた。
その後
新日本プロレスに主戦場を移すと、【総合格闘技風
プロレスUWF】→【総合格闘技PRIDE】→【お笑い
プロレスハッスル】という流浪のレスラー生活を送っている
高田延彦などのライバルとして抗争を繰り広げていたベテラン選手である。
そんな越中がレスラー生活30年目にして、深夜のお笑い番組がキッカケで妙な人気を集めてしまっているのだ。
一昔前のコワモテぶっていた新日では考えられないユルさである。
プロレスファンとして、レスラーの知名度が上がるのは大いに結構だが、ストロングスタイルだの最強の格闘技だのと名乗っていた新日の選手が、落ちぶれた状態からお笑い芸人のお陰で脚光を浴びる構図というのはなんとも複雑な気分である。
もはや今のプロレス業界は、このような方法でしかしのげなくなってしまったのだろうか?
いまや大手と呼ばれている団体がお笑い芸人やプロレス自体を小バカにしているようなTVマンの力を借りて、あろうことかそれをありがたがって日銭を稼ぎ、インディだ弱小だと風当たりの強かった団体が地道に試合のクオリティで新規ファンを開拓して成長している。
プロレス業界の明日はふ抜けた大手団体よりも、むしろこういったTVもない、金もない、ただ選手のやる気だけがあるという、インディ団体の背にかかっているのかもしれない。
古いプロレスファンとしては嘆かわしい時代である。