桜花賞・ダイワスカーレット8日、
阪神競馬場で行われた桜花賞(3歳牝、GI・芝1600m)は、
安藤勝己騎手騎乗の3番人気
ダイワスカーレット(牝3、栗東・松田国英厩舎)が、大外枠から3角手前で好位に取りついて直線に向くと、ゴール前鋭く伸び、中団の前めから差を詰めた圧倒的1番人気(単勝1.4倍)
ウオッカの追撃を1.1/2馬身差抑えて優勝した。勝ちタイムは1分33秒7(良)。さらに3.1/2馬身差の3着には7番人気
カタマチボタンが入り、2番人気アストンマーチャンは7着に敗れた。
勝った
ダイワスカーレットは父
アグネスタキオン、母は91年クイーンC(GIII)など重賞4勝のスカーレットブーケ(その父ノーザンテースト)という血統。半兄に04年皐月賞(GI)、06年天皇賞・秋(GI)、06年マイルチャンピオンシップ(GI)を勝ったダイワメジャー(牡6、美浦・上原博之厩舎、父サンデーサイレンス)、半姉に00年新潟3歳S(GIII)を制し、01年桜花賞で3着だったダイワルージュ(父サンデーサイレンス)がいる。
昨年11月19日の新馬戦(京都・芝2000m)でデビュー勝ち。続く中京2歳S(OP、芝1800m)では後に重賞を2勝する
アドマイヤオーラ以下を抑えて2連勝。年明けのシンザン記念(GIII)は2着、前走のチューリップ賞(GIII)でも
ウオッカにクビ差及ばなかったが、今回その雪辱を果たすとともに、初重賞勝ちをGI制覇で飾った。通算成績5戦3勝(うち重賞1勝)。
桜花賞コメント
1着
ダイワスカーレット(安藤勝騎手)
「瞬発力で劣ると思っていたので、早めに動いて
ウオッカに早く追わせるようなレースをしました。道中力んでいたが、アストンマーチャンを追いかけて行ったら力みが取れました。
ウオッカがすぐ後ろに来ていたのは分かっていましたが、終いまで止まらずにしっかり走っていました。状態もよくなっていました。2000m以上を走ることを考えると、内枠を引いて壁を作ってレースをすれば、もっとリラックスして走れるのではないかと調教から感じています」
(松田国師)
「チューリップ賞をじっくり見ると、意外に
ウオッカは一杯の競馬をしていて、世間で言われているほど差があるとは思いませんでした。それにあの時は状態も本物ではありませんでしたし。時計をコンマ5秒縮めれば勝てる、そう思ってやってきましたが、ここまで順調に来れました。この馬が本当によくなるには、まだ数戦掛かると思います。次は関東に行きますが、しっかり調整して行きます」
2着
ウオッカ(四位騎手)
「悔しい、残念です。理想的な形で競馬が出来たのですが、いつもの走りではありませんでした。いつもなら、ゴーサインを出すとグーンと反応するのに、いつもの手応えがありませんでした」
(角居師)
「前回と同じポジションで、同じパターンのレースでしたので、しめしめと思っていましたが、
ダイワスカーレットの方が強かったということでしょう。状態面は悪くありませんでした。次走については馬と相談しながら考えます」
3着
カタマチボタン(加藤師)
「厳しい競馬の中、よく頑張ってくれたと思います」
4着 ローブデコルテ(福永騎手)
「馬が変わってきて、切れるようになっています。スタートで半歩遅れたのが痛かったですね。あれがなければ楽に3着はありました。オークスが楽しみです」
5着 イクスキューズ(北村騎手)
「もう少し前につけたかったのですが、遅いペースでも力まず走っていました。最後もよく伸びているんですけどね」
7着 アストンマーチャン(武豊騎手)
「今までで一番テンションが上がっていました。道中、力んで走っていたし、
ダイワスカーレットに来られた時はもう抵抗できませんでした」
12着 クーヴェルチュール(鮫島騎手)
「流れには乗れましたが、直線では止まってしまいました。距離が少し長いのかもしれませんね」
桜花賞全着順
1 ダイワスカーレット 1:33.7
2 ウオッカ 1.1/2
3
カタマチボタン 3.1/2
4 ローブデコルテ ハナ
5 イクスキューズ 1.1/4
6 レインダンス ハナ
7 アストンマーチャン 1
8 ハギノルチェーレ 3/4
9 カノヤザクラ クビ
10 アマノチェリーラン クビ
11 フローラルカーヴ 2.1/2
12 クーヴェルチュール クビ
13 ショウナンタレント 1.3/4
14 ピンクカメオ ハナ
15 エミーズスマイル 1.3/4
16 アポロティアラ クビ
17 ベリーベリナイス 6
18 ニシノチャーミー 1.3/4
●
安藤勝己騎手
06年(キストゥヘヴン)に続く2連覇。JRA・GIは今年のフェブラリーS(サンライズバッカス)に続く通算12勝目。JRA重賞は今年の阪急杯(GIII、プリサイスマシーン)に続く今年5勝目、通算48勝目となった。
●松田国英調教師
このレース初勝利。JRA・GIは05年朝日杯フューチュリティS(フサイチリシャール)以来の8勝目。牝馬GIは04年オークス(ダイワエルシエーロ)に続く2勝目。JRA重賞は今年の共同通信杯(GIII、フサイチホウオー)に続く今年2勝目、通算41勝目となった。
●
アグネスタキオン産駒
昨年のNHKマイルCを勝ったロジックに続くJRA・GI馬で2勝目。JRA重賞勝ち馬はショウナンタキオン、ロジック、
アドマイヤオーラ、ショウナンタレントに続く5頭目。
●桜花賞馬の血
昨年のキストゥヘヴン(父アドマイヤベガ、母ベガ)に続き、サンデーサイレンスの孫で、父の母に桜花賞馬(アグネスフローラ)を持つ馬の勝利。
●兄姉クラシック制覇
半兄ダイワメジャーは04年皐月賞(GI)馬で、ダイワスカーレットの勝利で兄姉クラシック制覇となった。過去の例にはダンスパートナー(95年オークス)、ダンスインザダーク(96年菊花賞)、ダンスインザムード(04年桜花賞)の3きょうだいなどの例がある。
●牝系の悲願
母スカーレットブーケは91年4着、半姉ダイワルージュは01年3着、従姉ブルーリッジリバーは02年2着、伯母スカーレットリボンは88年に1番人気に推されながら12着に敗れており、この牝系にとっては悲願の桜花賞制覇となった。
●1番人気馬
1番人気ウオッカは2着。05年シーザリオ、06年アドマイヤキッスに続き、1番人気馬は3年連続2着となった。
●兄妹クラシック制覇
ダイワスカーレットの兄はH16年皐月賞を制したダイワメジャーで、兄妹クラシック制覇となった。
●チューリップ賞2着馬
チューリップ賞2着馬の勝利(重賞になって以降)はH6年オグリローマン、H15年スティルインラブに次いで3頭目。
●勝ちタイム
勝ちタイムの1分33秒7は、H17年ラインクラフトの1分33秒5、H16年ダンスインザムードの1分33秒6に次ぐ、桜花賞史上3番目の好タイム。