サイレントウィットネス号 プロフィール
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サイレントウィットネス (Silent Witness、漢字表記:精英大師)=
香港 せん・7歳・鹿毛
(オーストラリア産 1999年10月1日生まれ)
父 : El Moxie
母 : Jade Tiara(母の父:Bureaucracy)
馬 主 : A.ダシルバ
調教師 : A.S.クルーズ
騎 手 : F.コーツィー
戦 績 : 通算24戦18勝
主な勝ち鞍 : 03、04
香港スプリント(国際G1)
04、05チェアマンズスプリントプライズ(
香港G1)
04、05センテナリースプリントカップ(
香港G1)
05
スプリンターズS(GI)
サイレントウィットネスは、昨年日本で2度出走し、私達にはなじみの馬です。
まず昨年6月5日の
安田記念では、スプリンターに1,600mは長いと思われたものの、アサクサデンエンの3着に好走しました。しかもレース振りは、2番手追走から直線あわやのシーンを見せる見事なもので、着差もクビ、アタマの小差でした。F.コーツィーの騎乗で、単勝8.6倍の5番人気でした。コーツィーはここまで本馬の24戦すべてに騎乗しています。
それからほぼ4ヶ月の休み明けで出走したのが昨年10月2日の
スプリンターズS(GI、中山芝、1,200m)でした。これに先立ち2005年8月10日に発表されたIFHA(国際競馬統括機関連盟)の04/05南半球暦ランキングで、
サイレントウィットネスは、ドバイワールドC快勝のロージズインメイと並び、レーティング123の第1位に推されていました。スプリンターとしては断然の単独トップです。
スプリンターズSでは、単勝2.0倍の1番人気に支持されました。前日の朝、馬場入りした時に放馬するアクシデントがあり、パドックでもイレ込み気味でしたが、レースでは十分に実力を発揮、デュランダルに1馬身1/4の差をつけて優勝しました。3番手の外につける展開から、ゴール前で一気に抜け出したもの。良馬場の勝ちタイムは1分07秒3。トロットスターが2001年のこのレースで計時したコースレコードにあと0秒3と迫る好タイムでした。
スプリンターズSは94年から外国馬に開放され、以来初めて外国馬が勝ったことになります。
サイレントウィットネスは、この時点で20戦18勝、1,400m以下のスプリント戦では、18戦18勝のパーフェクトの戦績を残したことになります。
サイレントウィットネスはしかし、このあと
香港に帰国後一時、ウィルス性の病気にかかり、以後、本来の調子を取り戻せないまま、この6月終了の
香港の05/06年のシーズンを終えることになります。
スプリンターズSのあと、今年ここまで香港で4戦していずれも敗れています。
昨年11月20日のインターナショナルスプリントトライアル(シャティン、1,000m)は出走取消となり、帰国後の初出走は2006年2月26日のセンテナリースプリントC(香港G1、直線、1,000m)。レースはシャティン競馬場に10頭が出走して争われ、単勝1.5倍の断然人気に推されましたが、いつもの行き肢がなく、8番手追走のまま伸びきれず7着に敗れました。勝ったシンチレーションから着差は6馬身。
次いで、3月26日、同じシャティンのチェアマンズスプリントプライズ(香港G1、1,200m)に向かうと、最内の4、5番手から差を詰めたものの、ビレットエクスプレスから1馬身3/4差の3着に敗れました。ここは単勝3.2倍の2番人気。1番人気でなかったのは、香港ではデビュー2戦目(2番人気)以来で、わずか2回目のことです。
復調手前と見られたのは次走も同じ。続く4月15日のクイーンズシルバージュビリーC(香港G1、1,400m)でも単勝3.2倍の2番人気となり、レース結果もジョイフルウィナー(ここは本命、このあと今年の
安田記念で3着)に次ぐ2着でした。着差は1/2馬身。内をついて逃げ切るかに思えたものの、後方一気の本命馬の差し脚に屈しました。シャティン競馬場、良馬場の勝ちタイムは1分21秒6。
このあと5月7日、アジア・マイル・チャレンジ構成レースのチャンピオンズマイル(香港G1、1,600m)に向かうと、単勝2.5倍の1番人気に推されますが、ブリッシュラックの9着と、意外な大敗を喫します。先手を取って逃げたものの、残り200mで一気に差し込まれ、勝ち馬との着差は6馬身。昨年のチャンピオンズマイルは、ブリッシュラックのハナ差2着に入っていて、不向きな1,600mだったことだけが敗因ではなさそうで、気がかりでした。ブリッシュラックはこの直後、2年連続で向かった
安田記念を制しています。
以上で05/06年のシーズンを終了。IFHAは8月に入って05/06年の南半球暦ランキングを発表、日本の
スプリンターズS快勝が評価され、サイレントウィットネスはレーティング121で6位にランクされました。ブリッシュラックは120で7位。同じく今年のスプリンターズSを目指すテイクオーバーターゲットは119で8位タイでした。
サイレントウィットネスはこれまで通算24戦18勝。収得賞金5876万1896香港ドル(1香港ドル15円の換算で約8億8100万円)は香港歴代トップです。
昨年までの戦績を簡単に振り返ると、初出走は2002年12月のヘネシーH(シャティン、1,000m)。香港は9月から翌年6月末(又は7月初め)までが年間の競馬ジースンであり、1999年10月生まれの豪州産馬になる本馬は、このとき3歳のシーズン前半となります。
本馬はデビュー戦から連戦連勝。2003年12月の香港スプリント(8戦目)でG1初勝利を挙げると、2004年12月の同じ香港スプリントにも勝ち、日本のスプリンターズSと合わせて国際G1を3勝。香港限定G1は、毎年1月から4月にかけて行われる香港スプリント3冠(ボヒニアスプリントトロフィー、センテナリースプリントカップ、チェアマンズスプリントプライズ)2004年、2005年と達成し、計6勝。03/04、04/05と連続して香港年度代表馬にも選出されています。
それ以上に香港の競馬ファンを熱狂させたのは、20世紀欧米の連勝記録を無敗のまま更新し、世界に広く認知されたからと思われます。1,000~1,200mで16連勝したあと、2005年4月24日のクイーンズシルバージュビリーC(当時香港G2、シャティン、1,400m)で待望の17連勝を達成。これはイタリアのリボー、アメリカのサイテーションなど、20世紀の欧米の連勝記録「16」を破るものでした。
その直後の2005年チャンピオンズマイルを2着と敗れ、2005年の
安田記念へ遠征してからのことはこれまでに触れた通りです。
完全復調なら今年のスプリンターズSでも最有力候補となるのは間違いないところです。問題は体調ですが、8月25日のシャティンでの模擬レース(ダート1,200m)でアタマ、クビの3着に入りました。絶好調時に近い動きで、関係者を喜ばせています。
■血統
父のエルモキシーは米3冠の一つベルモントステークスを勝ったコンキスタドールシエロの直仔で北米で一般競走など19戦6勝。産駒に豪G1コーフィールドギニー勝ちのアルファ、豪G1オールエイジドSを制したエルミラダなど。母のジェイドティアラは豪で4勝。母の父ビューロクラシーは豪G1ジョージライダーS勝ち馬。
■サイレントウィットネス号 関係者プロフィール
★馬主:アーサー・アントニオ・ダシルバ氏
(Arthur Antonio da Silva)
1946年11月23日生まれの59歳。本業は香港の航空貨物の取り扱い会社であるジェットスピード社の社長。本名の「アーサー」よりも「アーチー」という愛称で知られている。先祖は17世紀末にマカオにやってきたポルトガル人で、曽祖父の代、香港が英国の植民地になった直後の1848年に、香港に移り住んできたという。
1980年からジェットスピード社の役員に就任し手腕を振るい、2001年には取引先であるドイツのルフトハンザ航空が自社の所有する747-200型貨物専用機に「アーチー・ダシルバ」と命名したというエピソードも残っている。
著名な弁護士であった父親も馬主であったが、その父親が全ての持ち馬にウィットネスと付けていたことにならい、自らの持ち馬にもウィットネスを付けている。
サイレントウィットネスのレースの際には毎回のように全身で喜怒哀楽を表現する姿がITV、ターフビジョンに大写しにされ、その豪快な風貌とあいまって、競馬ファンの間での人気も高い。
★調教師:アンソニー.S.クルーズ氏(Anthony.S.Cruz)
1956年12月24日生まれの49歳。香港ジョッキークラブ騎手養成所の第1期の卒業生として1974年に見習騎手としてデビュー。1996年に騎手を引退するまで6回リーディングジョッキーの座につき香港での勝星は937勝にのぼる。
1980年代には香港のみならずヨーロッパでも活躍し、1987年ガネイ賞(トリプティク)、1988年のヴェルメイユ賞(インディアンローズ)、1989年のフランスオークス(レディインシルバー)などの大レースで勝星を挙げている。
騎手を引退して調教師になった後も、その活躍ぶりは止まるところを知らず、1999/2000シーズンには57勝で初のリーディングトレーナーを獲得。2004/05シーズンは、14あるGI競走のうち7競走に勝利し、また25年間破られなかったシーズン最多勝記録の87勝を上回る91勝をあげ、2度目のリーディングトレーナーとなった。昨シーズン(2005/06シーズン)は58勝をあげ、リーディング第3位であった。
調教師として、昨年スプリンターズSにサイレントウィットネスを送り込み、2000年の
安田記念におけるフェアリーキングプローン以来の香港馬による日本でのGI競走制覇、さらに本年の
安田記念におけるブリッシュラックの優勝は記憶に新しい。
騎手としては
ジャパンカップに2回(1986年、1987年)、WSJSに2回(1992年、1995年)の来日経験があり日本での通算成績は16戦1勝。1987年にはフランスの女傑トリプティクに騎乗し、当時は
ジャパンカップの前哨戦であった富士Sで圧勝し、本番では断然の一番人気に推されたものの、直線での不利もあって4着と破れている。
★騎手:フェリックス・コーツィー騎手(Felix Coetzee)
1959年3月7日生まれの47歳。南アフリカ出身。南アフリカでチャンピオンジョッキーとなった後香港へ移籍。今シーズンからクラブジョッキー(香港ジョッキークラブ所属騎手)となっているが、昨シーズン(2005/06)まではA.S.クルーズきゅう舎所属騎手として活躍し、中でも2003/04シーズンにおいてはサイレントウィットネスの香港スプリント、ラッキーオーナーズによる香港マイル・香港ダービー制覇などを含め、G1に7勝するというすばらしい成績を上げた。
2003/04シーズンは64勝でリーディング第3位、2004/05シーズンは81勝で第2位、また昨シーズンは46勝で第4位であったが、2003/04及び2004/05シーズンはともに獲得賞金は第1位となっている。
2002年の
ジャパンカップダートでクルーズきゅう舎のレッドサン、また2005年にはサイレントウィットネスで安田記念及びスプリンターズSに騎乗しており、日本での騎乗は今回で4度目となる。
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テーマ : 競馬情報
ジャンル : ギャンブル