●加藤コミッショナーも右へならえ
日本野球を奈落の底に突き落とした星野仙一
監督の「続投」が、急加速しそうな雲行きだ。
「9月1日に開かれるプロ野球実行委員会で、
北京五輪の総括が行われます。と同時に、来年3月に行われる第2回WBCの日本代表
監督の人選も始まる。各球団幹部の中には、今回の
五輪の惨敗を重く受け止め、星野続投の流れに異を唱える声も出ていたが、そこへあのナベツネ発言です。代表
監督の選定は12球団とNPB(日本プロ野球組織)が中心になって進めるのが建前にはなっているが、渡辺会長の影響力は大きい。しかも、アジア予選を兼ねる日本ラウンドを主催するのは読売新聞。そのトップの意向だから、星野続投の流れができてしまった」(球界関係者)
選手のひ弱さを敗因とし、「星野クンにも欠点があるかもしれんし、失敗したかもしらん。しかし、星野
監督以上の人物が、オレにはいるとは思えん」と星野
監督をかばった巨人の渡辺会長。この日(26日)はNPBの加藤コミッショナーがWBCの日本代表
監督に言及し、「大リーガーも参加する。選手がこの人には従うという威光が必要。日本の戦力が最大限に発揮できる人選をする」と話した。その条件を星野
監督が満たしているとは思えないが、関係者によれば、「星野
監督を念頭に置いての発言」というから、メチャクチャだ。
強力な後ろ盾を得た星野
監督本人も「負けた監督にチャンスをあげようということかな。叩かれるのは分かっている。でも、叩かれるくらいの勝負がしたい。前へ進んでいく」と自ら責任論をほっぽり投げ、すっかりソノ気だが、そんなことは許されない。
●星野続投を喜ぶ
韓国、
台湾 アジアの野球事情に詳しいスポーツライターの戸部良也がこう言う。
「
韓国も
台湾も星野監督の続投を大歓迎しています。特に
韓国は今回の
北京五輪で『わが国こそアジアの盟主』という意を強くしていて、完全に日本を下に見るようになった。星野監督とは対照的に国内での評価を上げた金卿文監督は、もともと捕手出身で、『
韓国の
野村克也』『
韓国の森祇晶』と称される知将。相手によって投手戦も打撃戦もこなせる力量があり、絶大な信頼を得ている。その金監督から見れば、今回の日本代表、星野監督の戦いぶりは、見下ろすことはあっても、脅威を感じることはない。戦う前から相手に見下ろされ、のまれていては、勝負事には大きなマイナス。星野続投なら、WBCでも苦しい戦いが強いられるでしょうね」
渡辺会長は「星野君以上の采配が振るえる監督がほかにいるか。いるなら教えてくれ」とも言った。今回の大惨敗をきちんと検証、反省しないまま、「ほかにいないから星野でいい」というんじゃ、いよいよ納得できない。
●
落合、
野村、バレンタイン
野球ファンで知られる作家の松崎菊也氏がこう言う。
「星野仙一という男は、政財界の人間を集めて『仙友会』だの『虎仙会』だのと応援組織をつくっているのを見ても分かるように、現役時代、監督時代を通じて、球界のことより財界、スポンサーの方に顔を向けて生きてきた人間だとボクは思っている。日本代表監督になるや、テレビやCMに出ずっぱりだったでしょ。私利私欲の男と言っていい。そもそも、日本代表を率いるにふさわしくないんです。しかも、今回の惨敗で『すべての責任は私にある』などと大見えを切りながら、のらりくらりと言い訳ばかり。無責任な政治家と一緒だ。自分の発言に責任を持てない男に、再び日本代表の指揮を執らせようだなんて言語道断」
そして、こう続ける。
「監督としても、冷静に選手の能力、状態を判断できないことが今回の
五輪でハッキリした。にもかかわらず、ほかに適任者がいないなんて、ふざけるんじゃない。
中日の
落合監督だって、元ヤクルトの
野村監督(現楽天)、若松監督だって、横浜の権藤元監督だっていいじゃないか。実績があり、国際感覚に優れているという点でロッテのバレンタイン監督に日本代表を託してもいい。無責任で無能な星野監督が続投するなら、全国の野球ファンに金輪際、野球を見るなと声を大にして言いたい」
球界に、「地味で暗い
落合や
野村じゃ、スポンサーがつかない。金メダルは逃したが、星野は金(カネ)を生む」という声があるのは事実。しかし、地に落ちた日本野球の名誉を回復するためには、カネだのスポンサーだのは二の次だ。
星野監督は
北京五輪の前、自身のホームページで「オレはWBCの監督まではせんよ。いつまでもONだ、ONに代わって今度は星野だ、というのは好ましくない。次はもっと若い監督、若いスタッフで事に当たっていくべき」というようなことを書いていた。ならば、なおのこと自ら身を引くのが筋。何が「男・星野仙一」だ