ディープインパクト、来年も挑戦か-。
「あきらめずに、次に挑戦したい気持ちです」。池江泰郎調教師のひと言が、
ディープインパクトに来季現役続行、“世界再挑戦”の可能性をもたらした。種牡馬争奪戦を含めて、今後の動向には海外メディアも大きな関心を寄せており、
凱旋門賞再挑戦を期待する声も多い。来年もまた、ロンシャンを走るディープが見たい!
凱旋門賞史上、日本馬として初めて1番人気に推された日本のスーパーホース。ディープはファンの期待に応えられなかったが、直線で先頭に立ち、かわされても一度は差し返した。3着とはいえ、“3強”を形成したライバルのハリケーンランとシロッコは、ほとんど同じ位置からの競馬で4着と8着。1着
レイルリンクより3.5キロ重い59.5キロを背負いながら、古馬(牡馬)最先着を果たした事実が、世界に少なからず“衝撃”を与えた。
この激走を受け、「来年はどうするのか-」。そんな海外メディアの声が高まっている。英の競馬専門メディア『レーシングポスト』は「これで終わりではない。またこういった大きなレースに挑戦したい」との池江郎師の発言をホームページ上に掲載。
“try again next year”と好意的に再挑戦の可能性を報じた。
ロンシャンで観戦していた、93年の
凱旋門賞をアーバンシー(牝4)で勝ったJ・D・レスボルド元調教師は、「この敗戦でディープの評価が下がることはない」と断言している。アーバンシーは
凱旋門賞後にジャパンCに参戦。大きな話題になったが10着に敗れた。海外で好走することの難しさを肌で知るだけに、アウエーで善戦したディープの走りを讃える。
「ディープはヨーロッパの競馬が初めて。能力で負けたわけではないし、このレベルの馬は欧州でもなかなかいない。実際、ハリケーンランとシロッコを破ったじゃないか。また来年も参戦したらいい」と影の主役にエールを送った。
激闘から一夜明けた2日、ディープはシャンティーの調教場で、約40分の引き運動を消化した。朝カイバをしっかりと食べて、元気一杯だ。海外からも確実な評価を得られ、ましてやあと僅かの内容だっただけに、池江郎師の心も揺れている。
「残念な思いで朝を迎えましたが、馬は幸い何事もなく元気にしています。(金子真人)オーナーとは、まだ次走については話していませんが、悔しい気持ちだけではいけないので、あきらめずに、次に挑戦したい気持ちです」と、来年の“世界挑戦”にもつながるコメントを発信した。
今年の有馬記念(12月24日、中山、GI、芝2500メートル)を最後に引退し、種牡馬になるとの見方もあるが、さらに一歩近づいた“世界最高峰”の夢に再び挑戦してほしい。日本のファンだけでなく、海外のメディアまでもがその日を願う。誰もが、来年もロンシャンのターフを疾走するディープの姿を思い描いている。
★池江敏行助手「悔しさ次につなげる」
ディープの“戦友”池江敏行調教助手が、長く短い60日間を振り返った。「自分なりに色々な経験をさせてもらいました。調教やレースへの準備などその過程とレース内容も含め、この経験を次に必ず生かしたいです。みなさんの期待に応えられずつらいですが、今回の悔しさは必ず次につなげます。ディープには『おつかれさん、よーがんばったね!』と声をかけてあげました」。市川明彦厩務員は「順調にレースを迎えられて、ディープの順応性の高さを感じました。当日は馬場入場時に日本語のアナウンスが聞こえてきて驚きました」と話していた。
★深夜で驚異の視聴率!2000万人がTVで応援
NHK総合で生中継され
凱旋門賞の視聴率は関東地区で平均16.4%(ビデオリサーチ調べ)を記録。ディープが3着に敗れた2日午前零時37分に瞬間最高視聴率となる22.6%をマークした。番組視聴占拠率は42.6%。テレビをつけていた家庭の半分弱が観戦していたことになり、関西地区はさらに関心が高く、平均19.7%、瞬間最高28.5%を記録し、番組占拠視聴率は43.1%だった。いずれも深夜の時間帯では驚異的な数字だ。
凱旋門賞はNHK・BS1でも同時放送されており、ニッポン放送などラジオでも中継。日本全国で2000万人が“歴史的瞬間”を期待していたといっても大げさではないだろう。
★仏メディア「日本人に“侵略”された」
フランスのメディアが、ロンシャンが日本人に“侵略”されたと伝えた。約6000人の日本人の来場に、国営テレビのフランス3は「今年の異国情緒は例年とは違い、英国ではなく日本からやってきた。ロンシャンは日本人ファンに侵略された」と強調した。また英国大手ブックメーカーの関係者は、競馬場内で一時は1.1倍になったディープへの大量投票に、「これほどクレージーな賭けは見たことがない。ブックメーカーなら3.5倍なのに」と驚きの声。今年の凱旋門賞の競馬場内での売り上げは史上最高。その約半分の金額がディープへ投じられていた。
◆漫画家・黒鉄ヒロシさん
「勝てると思っていたので、ショックで気絶しそうになった。敗因は日本より長い芝や、勝った馬より3.5キロ重い斤量などアウエーの難しさが5つ、6つ重なったことだろう。前をふさがれるなどの不利がなく、ほぼ完璧(かんぺき)なコースどりだったのに外から一気にかわされて、ディープが一番驚いたのではないか」
◆放送プロデューサー、デーブ・スペクター氏
「何もかも新しい環境の中で、ディープはよく走ったよ。競走馬は人間の想像以上にナーバス。馬場だけでなく、空気が違うだけで、相当とまどうはず。
武豊騎手も日本を代表する実力者だし、堂々とした騎乗だった。3着という結果以上に、日本の競馬のレベルの高さを欧州にアピールできたと思う。実力があっても予想通りいかないのが競馬。人間でも初の海外旅行は緊張するものだし、ファンも意気消沈しないで、新たな“ディープ伝説”に期待しましょうよ」
◆作家・安部譲二さん
「よく走ったが斤量(馬の年齢や性別で定めた負荷重量)に負けた。3着だが、ぶっつけ本番でよくやった。ヨーロッパで1年戦えば来年の凱旋門賞は勝てる。そういう実力のある馬だ。日本とは違う長くて重いロンシャン競馬場の芝、出走馬で最も重い59.5キロの斤量は、450キロの小柄な
ディープインパクトにはつらかった。後方にいて最後の直線で奪取する日本での走り方と違ったが、芝や斤量、相手を考えた
武豊騎手の判断だったのだろう。最善の乗り方だったに違いない」
◆横綱・朝青龍
「もともと馬が好きで、小さいころから乗っていたので悔しかった。ディープはいつもと違った。何となくつやがなくて、大丈夫かなと思っていた。海外に行くと疲れてしまう。もう少しだったのに」
◆大相撲・岩木山
「ショックだった。叫びながらテレビを見ていた。勝ってほしかった。スタートがよすぎたのかな。スローペースでみんなディープをマークしていた。ここまで強くなったのだからとことん行ってほしい」
◆巨人・篠塚和典内野守備走塁コーチ
「焦ったわけじゃないだろうけれどスタートが良すぎたね。武騎手も乗りながら周りが前に行ってくれ、と思っていたんじゃないかな」
◆日本ハム・淡口憲治打撃コーチ
「惜しかったね。勝てると思っていたんだけど…。あの馬の走り方っていうのは、上に飛ぶんじゃなくて、前に飛ぶらしいんだよね。参考になるなぁと思って見ていたよ。さっそく(チーム一俊足の)紺田には言ったんだよ、『こう走れ!』ってね」
◆巨人・小久保裕紀内野手
「いい準備をしていただけに残念でしたね。世界一になるのは難しいねと、嫁と話しました」
◆横浜一の競馬通・三浦大輔投手
「最後の直線で出てきたときは『いける』と思ったんだけど…。3着になったが、ディープは一番強かった。それでも、勝てないのが競馬なんだね」
◆ヤクルト・川島亮投手
「やっぱりディープは、斤量が重かったと思う。展開的にも問題なく最後は一瞬伸びたけど、いつもの走りじゃなかった。ただライバルといわれていた2頭に、勝ったあたりはさすがです」
◆ヤクルト・木田優夫投手
「あの8頭に入ることだけでも、すごいことだと思う。あのレベルの馬とジョッキーの勝負ですから、何で負けた、とか僕らにはわからない世界です」
◆テレビ観戦した女優、佐藤藍子
「シロッコやハリケーンランに勝ったことには満足していますし、武騎手のレース展開も良かったと思います。ゴール前で差されてしまったのは斤量の差で、実力の差ではないと信じています」
◆フジテレビの番組でロンシャン競馬場で生観戦したタレント、若槻千夏
「結果は残念だったけど、お疲れ様といいたいです。私自身は生で現場を見て、鳥肌が立つほど凄い興奮を味わいました。この時代に競馬という仕事に携われて、ディープに出会えて光栄です」
◆3冠馬になった昨年の菊花賞でプレゼンターを務めた女優、井上和香
「ディープが1番になると思っていたので非常に残念です。日本でいい走りを見せてもらい、いつかまた、凱旋門賞で走っている姿を見せてください」
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