スポーツ紙の中には「快挙」と書いたところもある。「崖(がけ)っぷち
アイドル」を自称する
くまきりあさ美(26)が彼氏をゲットした。その相手が
横浜ベイスターズの那須野巧投手(24)というのだから、周囲が騒ぐのも無理はない。
週刊ポストが決定的瞬間を収めたのは4月21日のこと。那須野の自宅近くのコンビニで買い物し、その後1泊したところをカメラに収められた。これが並の
アイドルと野球選手なら、たしかに「快挙」だが、このカップルはちょっと違う。例の巨額契約金問題で、崖っぷちなのは那須野の方。くまきりはこれまでいくつもの危機に見舞われ、それらを自らの力で這い上がってきた超ラッキーガール。それほど、くまきりの崖っぷちぶりは凄絶(せいぜつ)だった。
80年生まれのくまきりが静岡から上京、芸能界に入ったのは17歳の時。といっても華やかな世界には程遠く、「浅田真子」の芸名で当時はやっていたブルセラ雑誌などのモデルをやっていた。
唯一のチャンスが巡ってきたのは、その翌年のこと。かつて「夕焼けニャンニャン」で「おニャン子クラブ」をヒットさせたフジテレビが“二匹目のドジョウ”とばかり、夕方放送の
アイドル番組を企画した。番組がプロデュースする「チェキッ娘」のひとりに選ばれたのがくまきりだった。このままいけば「平成のおニャン子」も夢ではない。くまきりはもちろん、その他のメンバーも胸を膨らませたはずだ。
ところが、期待の番組は視聴率低迷で半年で打ち切り。チェキッ娘は2枚目のCDを出したところで解散となった。
●普通ならとっくに消えていたはずだけど…
ほとんどのメンバーは芸能界を諦める中、くまきりは大手プロダクションに拾われ「METAMO」なる新ユニットを組むことになった。もっとも、新ユニットなどといっても、CDを出してくれるレコード会社はなく、CDをインディーズで出していた。当時のインタビュー記事には、取材場所にくまきりがひとりで現れたことに記者が驚くくだりがある。マネジャーがついていなかった、ということだ。
事務所が「ファンと楽しむバスツアー」を企画したところ、人数が集まらず中止になった、なんていうこともあった。当然、事務所は契約の見直しを迫る。くまきりはいつクビになってもおかしくない状況に追い込まれた。
さて、ここからがくまきりの本領発揮。自ら「崖っぷち
アイドル」のキャラクターを設定し、会う人ごとに「クビ寸前なんです」「仕事下さい」と歩き回る。たまに出してもらったバラエティーでも、プライドをかなぐり捨て、自らのプライベートをさらけ出した。こうした開き直りが関係者や視聴者に受けて、今日の座を手に入れた「根性娘」なのである。
例の契約金問題が発覚してから、那須野は不安定な状態が続いている。ここで何より必要なのは、くまきりのようなメンタル面の強さ。カップル誕生で「快挙」と喜ぶのは、案外、那須野の方じゃないか。