【北京=宮脇広久】
野球日本代表は悲願の
金メダル獲得に失敗。闘将、星野仙一監督(61)は、ONに匹敵するカリスマになり損ねた。次に気になるのは、半年あまり後に迫っている第2回ワールドベースボールクラシック(
WBC)の監督が誰になるか。
星野監督は若い世代へ禅譲する意向を示し、前任者の
王貞治監督には体調問題が付きまとう。こうしてみると、球界が陥っている人材難が浮き彫りになる。
うちひしがれる球界に、第2回
WBCが迫っている。来年3月5日には東京ドームでA組(日本、
韓国、台湾、
中国)の第1ラウンドが開幕する。監督の人選はどうなるのか。
ある球界OBは「王監督が引き受けてくれるなら文句なし。世界の王の威光があれば、イチローら大リーガーもその指揮下に入りやすい。親密な関係にある加藤良三・新コミッショナーから依頼されれば断りづらいかもしれない。ただ、体調の問題だけは本人しかわからない部分が多く、無理はさせられない」と複雑な表情だ。
一方で「星野は
金メダルを逃して株を下げたのは確かだが、それでも広告効果を期待するスポンサーが納得する人気は、いまや余人をもって代え難い。要するに、ON、星野を除くと、適任者が見当たらないのが実情なんだ」とも。
星野監督は、ホームページ上で「最近あっちこっちで訊かれるから言っておくけれど、おれは
WBCの監督まではせんよ」と宣言。「次は、もっと若い監督、若いスタッフでことに当たっていくべきだし、それが日本の球界全体にとっても自然な、そして必要な、大切な取り組み方というか姿というものだということじゃあないのか。いつまでもONだ、ONに代わって今度は星野だ、というようなそういう時期や巡り合わせはあるにはあったとしても、いつまでも堂々めぐりの人事というものは好ましくない」と記している。
とはいえ、その若い世代の顔ぶれが寂しい。43歳の古田敦也氏は、ソウル
五輪銀メダリストの実績もあって早くから代表監督候補と目されていたが、ヤクルト監督の失敗で一気に評価が下がってしまった。今年51歳となる阪神・岡田監督、50歳の巨人・原監督にはそれぞれ全国的なインパクトがあるが、過去の実績で物足りない。いずれにせよ、帯に短し、タスキには長い人材ばかりだ。
ヤクルト関係者は「ウチの元監督がいいんじゃない? 成績も安定していたし、日本一も経験しているよ」と、
星野監督より1学年下にあたる若松勉氏を推すが、▲止まりか。
星野監督よりさらに一世代上の73歳の楽天・野村監督が「なぜ、代表監督の話が私の所に来ないのか」と色気を見せているのは興味深い。確かに監督としての実績は十分だが「不器用な性格が災いして付き合いが下手」と自認する性格から、マリナーズのイチローら大リーガーが協力するかが問題。A組の第1ラウンドは、今回も巨人の親会社の読売新聞社が主催するだけに、ヤクルト監督時代の因縁も影響するかもしれない。
過去3度日本シリーズに挑んで1度も日本一になったことのない
星野監督が、短期決戦の
五輪でまた敗退したことで、株を上げたのが中日・落合監督。極端な秘密主義は
日本代表にそぐわない気がするが、「
星野監督は、岩瀬が明らかに不調だったにもかかわらず、子飼いの選手にこだわった温情があだになった。短期決戦は、去年の日本シリーズで、完全試合を続行中だった山井をあっさり代えられる落合監督の方が適しているんじゃないの」(
日本代表関係者)との声もある。
北京
五輪日本代表の宿舎では、視察のために当地入りしたロッテ・バレンタイン監督が、
星野監督と顔を合わせ、握手をかわし激励する姿が見られた。
日本代表監督が、米国人でも問題はない。
こうして見ると、誰もが納得する代表監督候補というのはなかなか見当たらない。結局、ON、星野といった「昔の名前」に頼るしかないのか。迷っている時間はない。こうなったら、立候補者を募って国民投票でもしてみたらどうだろう。
http://www.zakzak.co.jp/spo/2008_08/s2008082301_all.html▼関連記事
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