本格的な秋のゴルフシーズン突入を前に、高校生プロゴルファー、
石川遼を取り巻くツアー関係者の動向が慌ただしさを増してきた。先週のローカル大会「関西オープン」でプロ初優勝を果たしたことで、石川の出場スケジュールを巡る環境が激変。各大会の関係者は「ウチの大会は休まないでほしい」と、あの手この手の欠場回避に動き出している。すべてのオファーに応えたら、遼クンが壊れてしまう可能性も-。
きょう28日、福岡・芥屋GC(7173ヤード、パー72)で開幕した「バナH杯KBCオーガスタ」で“2週連続優勝”をかける石川は、1バーディー2ボギーの73で1オーバー発進。「今年1番短いパーパット(20センチ)を外してしまった」と、16番からの2連続ボギーを苦笑い。ただ、「悪いなりに耐えた方かな」とも話し、表情は充実している。
大会関係者は「2週連続Vもそうですが、今週はツアーの1戦ですから重みがある。勝てばプロとしてのツアー初優勝です」と、メモリアルを強調する。
2勝目よりは“初”勝利。今最も人気があるゴルファーで、まだ16歳とこの先も長くゴルフ界を牽引することが期待される逸材だけに、何かしら「初」をつけてファンや本人に印象づけたい気持ちがあるらしい。今後の各大会の関係者も思いは同じだ。
それには、まず出場してもらわなければならない。
夏場の中断期間を経て、今週から再開された男子ツアーは来週の「フジサンケイクラシック」(山梨・富士桜CC)開催後、また1週間休み、その後は12月の「日本シリーズJTカップ」まで毎週開催される。
ただでさえ引っ張りだこの石川は、先の関西オープン優勝で、10月の「日本オープン」出場を確実にし、この連戦期間中のスケジュール調整が難しくなった。
「
ANA」「パナソニック」「コカ・コーラ」はいずれも巨額の個人契約を結ぶスポンサーの主催大会で出場確定。終盤戦にも、やはり契約を結ぶトヨタ自動車のブランド「レクサス」が主催する大会がある。
同じようなスターの宿命に直面した宮里藍は、実質的なデビュー年だった2004年に相次ぐオファーに応えて出場を続け、腰を痛めるトラブルに見舞われており、「一体いつ休むのか?」は、ツアー関係者ならずとも気がかりだ。
あるツアー関係者は「石川君が出場を切望していた日本オープンの前後で1つずつスキップ(欠場)するのが妥当」とし、「ファン思いの石川君としては苦渋の決断だろうが、5週連続出場となるのを避けるため、しがらみのない『キヤノン』のスキップはやむを得ない」と、第1の貧乏くじ候補を予想している。
本当に難しいのはビッグトーナメントがめじろ押しの終盤戦の欠場予想だろう。「ブリヂストン」は、契約こそないものの主催社の関連会社に関西オープン優勝時に使用していたボールのメーカーがあり、「三井住友」「ダンロップ」にはイアン・ポールター(英国)ら石川あこがれの海外プロが出場してくる。
他も、ある大会では「昨年は出場してもらえなかったので」と、今季初めの海外遠征から石川の出場大会にはほとんど顔を出し、出場してもらえるよう密着マークするなど、売り込みに躍起だ。宮里の藍ちゃんブームの際には、欠場した大会の担当者が即刻異動の憂き目に遭った例もあり、これで欠場されたらクビが飛びかねない担当者もいる。
本来なら夏休み最終週のはずの高校生の心配をするのもおかしな話だが、過熱する「ハニカミブーム再燃」は危険と隣り合わせの様相を呈している。
【男子ツアー日程】
月 日 大 会 名賞金総額
8 28~31 バナH杯KBCオーガスタ 1.0億
9 4~ 7 フジサンケイクラシック 1.5億
18~21
ANAオープン 1.3億
25~28 パナソニックオープン 2.0億
10 2~ 5 コカ・コーラ東海 1.2億
9~12 キヤノンオープン 2.0億
16~19 日本オープン 2.0億
23~26 ブリヂストンオープン 1.5億
30~ 2 マイナビABC選手権 1.5億
11 6~ 9 レクサス選手権 2.0億
13~16 三井住友VISA 2.0億
20~23 ダンロップフェニックス 2.0億
27~30 カシオワールド 1.4億
12 4~ 7 日本シリーズJTカップ 1.0億
http://www.zakzak.co.jp/spo/200808/s2008082815_all.html