1998年
巨人ドラフトの1位上原と2位二岡は、ともに今季FA(フリーエージェント)権を取得した。米球界移籍をにらむ上原には多数のMLBスカウトが目を光らせるが、二岡は1年目から守ってきた遊撃の定位置を追われ、正念場を迎えている。2人の今オフの行方は-。
今季の上原は不振とはいえ、
北京五輪で2試合に登板して、国際試合での強さをアピール。帰国して26日に出場登録されると、MLB6球団が東京ドームのネット裏に集結した。
ア・リーグ某球団のスカウトに「上原を見に来たのか?」と尋ねると怪訝な表情で首を振り、逆に「ユーウィーハラはいつ投げるんだ?」と聞いてきた。正確な読み方は分からなくても、その投球は何度もビデオで見ており、「スプリット(フォーク)が素晴らしい」との見立てだ。
メッツ環太平洋担当部長の大慈彌功氏も「
五輪での投球はテレビで見たが、直球、フォーク、コントロールともぐんとよくなっている」と評価する。
好投の一因は
五輪の球場のマウンド。MLB関係者を招いて硬くて高いメジャー仕様にしたため、上原も「自分に合う」と語っていた。身も心もすっかり、米国仕様というわけか。
二岡も上原と同じく海外移籍FAの権利を取得したが、スカウト陣のリストにその名はないもようだ。あるスカウトは「知らないけど、いいピッチャーなのか?」と逆取材してきた。
二岡は昨オフ、チーム内に漂う「ポスト二岡」のムードに対して、「非常に不愉快です」と珍しく感情をあらわにした。しかし新選手会長として臨んだ今季、開幕戦でいきなり故障リタイアし、まんまと「ポスト二岡」最年少候補の坂本に遊撃の定位置を奪われた。
しかもリハビリ中にタレントの
山本モナと
不倫騒動を起こし、1軍復帰後は三塁にコンバートされたが、いまだ戸惑いを隠せない。
25日には二岡のエラーに対して、東京ドーム左翼側の中日ファンが一斉に「モナ岡コール」を浴びせた。
巨人関係者は「一度お立ち台に上がればグッと雰囲気も変わるだろうが、ズルズルとここまで来てしまった。何度か『ここで打てば』というチャンスもあったと思うが…」と話すが、25日から3試合連続でスタメンを外れるなど、逆に挽回の機会は減りつつある。
今季の活躍次第では、昨季FAとなった前選手会長の高橋由のように、今オフ「生涯
巨人」を宣言して、複数年の大型契約と幹部手形を手に入れることもできたはずだ。
しかし、この調子が続くようなら見通しは暗い。海外に雄飛する「同期の星」を見送りつつ、自身は厳冬のオフとなるのか。
http://www.zakzak.co.jp/spo/200808/s2008082814_all.html