●「
NPBはナニ様のつもりか」
今秋の
ドラフト会議の目玉、
田沢純一(投手・22=新日本石油ENEOS)の
メジャー挑戦表明を受け、日本球界が真っ二つの様相だ。田沢をまるで国賊扱いしているのが日本プロ野球組織(
NPB)や12球団だが、それに労組日本プロ野球選手会が異を唱えた。ドラフトを拒否して海外球団に入団した選手を対象に、日本帰国後の指名を凍結する「流出防止策」を決めた
NPBに対しこの日(28日)、「将来的な日本プロ野球界の発展を狭める」と、見直しを求める要望書を突きつけたのだ。
「
NPBは憲法違反。基本的人権のひとつである職業選択の自由を侵害しています」とは、戯作者の松崎菊也氏だ。
「まず第一に、田沢投手の進路について日本球界がとやかく口をはさむ権利はありません。田沢投手に来て欲しいのなら、さまざまな条件を提示して、頭を下げるのが当然なのに、契約交渉すらしていない段階で、まるで自分たちの支配下にあるような態度はアベコベだし、傲慢(ごうまん)そのもの。ナニ様なのかと言いたくなります」
NPBは
メジャーに対し、双方のドラフト候補選手の獲得を避けるという「紳士協定」を順守するよう求めるなどと息巻いているが、スポーツライターの松瀬学氏は、
NPBの迷走をこう切る。
「そもそも、田沢投手のようにアマチュアから、いきなり
メジャーに行った選手は1人や2人ではありません。にもかかわらず、
NPBが田沢投手に限って邪魔しようとしているのはナゼか。彼が“金のタマゴ”だからでしょう。無名選手のときは何も文句を言わなかったのに、優秀な選手はまるで自分たちに所有権があるように囲い込みを図り、言うことを聞かないとなった途端につぶしにかかる。
NPBのトップは、選手のことより、まず自分たちの組織、球団の利害のことを考えているんじゃないですか」
●能力が高いほど
メジャー目指す
本当だ。
メジャーリーガーが最低約4000万円もの年俸が保証されているのに対し、日本プロ野球のそれは一軍でも1500万円、二軍は400万円と半値以下。年金も
メジャーは手厚く保証され、たとえばエンゼルスなどで活躍した長谷川滋利氏は62歳から日本円にして年間1600万円以上もの年金を毎年もらえるという。レベルの違いは言うまでもなく、
「田沢投手のように能力の高い選手が
メジャーを目指すのは当然ですよ」と松瀬氏は言う。
それだけじゃない。メジャーでは「活躍したいなら26歳までに入れ」と言われている。メジャーの水に慣れろじゃないが30歳を過ぎてトップを狙うのは能力の高い選手でも簡単ではないからだ。しかし、プロ野球では海外移籍も可能なFA権の獲得までに9年(大リーグは6年)。ポスティング制度も球団の許可がいる。松坂が一年でも一日でも早くメジャーで投げたいと言っていたのは、選手としての全盛期を日本球界で終えてしまう可能性があったからだ。
NPBが今すべきなのは、大志を抱いて挑戦する田沢のような選手にペナルティーを与えることではない。選手への待遇も環境も少しでもメジャーに近づけるよう、自助努力すること。それでなければ第2、第3の田沢が必ず出てくる。
http://news.livedoor.com/article/detail/3883266/