各 位
全国婦人保護施設等連絡協議会 民営施設長会<要請書代表世話人> 社会福祉法人 恩賜財団東京都同胞援護会 いこいの家 施設長 田口 道子
社会福祉法人 ベテスダ奉仕女母の家 いずみ寮 施設長 横田千代子
社会福祉法人 慈愛会 慈愛寮 施設長 細金 和子
社会福祉法人 救世軍社会事業団 東京都新生寮 施設長 高橋 真澄
社会福祉法人 救世軍社会事業団 救世軍婦人寮 施設長 伊藤 和穂
私たちは根拠法を「売春防止法」(昭和31年)「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」(DV防止法;平成13年)におく婦人保護施設の全国組織です。全国に公立公営・公立民営/民立民営48の施設があります。
この度の「署名のお願い」は全国組織である「全国婦人保護施設等連絡協議会」の中にある民営(公立・民立)施設長会の中の東京5施設の施設長が代表してのお願いです。
今、社会で暴力が蔓延しています。被害者は年齢を問わず増え続けています。その影響はメディアや、今や最も身近にある携帯などにより様々な歪んだ情報が出回っていることにもあるといえます。中でも
アダルトビデオの撮影現場は、女性たちに対し、凄惨な虐待・集団暴行・拷問が行われている場です。密室化された空間では、陰閉された凄まじい性暴力が行われ、女性たちは想像を絶する性被害を受けているのです。その実態は一般的には殆んど周知されていないでしょうし、ましてやその後、女性たちがどのような状況に置かれているかなど尚更のことでしょう。
その結果、精神を病み、自殺にまで追い込まれる女性たちがいる事実は新聞でも報道されることもあります。婦人保護施設は、このような性被害により心身の傷を一生引きずりながら生きていかなければならない女性たちが辿り着く施設のひとつです。
さらに、暴力的な
アダルトビデオの氾濫により、子どもたちは家庭内で見せられたり、店では子どもが安易に買えたり借りられたり、無防備な実態にさらされています。この子どもへの心身に及ぼす被害もまた私たちは、施設の女性たちに同伴する子どもを通じて目の当たりにしています。
今回、回収・絶版を求めている『ひとはみな・ハダカになる』は、まさに無防備に子どもたちが性暴力に興味を抱くように誘いかけている顕著なものといえるでしょう。
「児童文学の理論社」は長い歴史の中で、多くの子どもたちの情操を育ててきました。しかし、今回、理論社は情操教育どころか、見えないところで被害者、加害者を生んでいることに気づいていないのではないかという、強烈な危機感を覚えています。
私たちは、理論社に抗議するとともに回収・絶版を求めるべく立ち上がりました。それは、これ以上女性たち・子どもたちへの被害が広がらないために、加害者を生まないためにです。このためには多くの人々の参加と協力が是非とも必要です。
どうぞこの要旨を重々ご理解いただき、一人でも多くの方々に賛同・署名いただきたく切にお願い申し上げます。
なお、ご不明な点、疑問な点などございましたら下記にご連絡下さい。出来る限り、ご説明しご協力を仰ぎたいと存じます。
重ねてご協力をお願い申しあげます。
2008年8月8日
連絡・問い合わせ先:FAX 03-3361-2771
署名送付先:〒163-8799 東京都新宿区西新宿1-8-8 新宿郵便局局留
全国婦人保護施設等連絡協議会民営施設長会宛
以下は、要請書をコピー&ペーストしてみました。
それぞれ社会作りに動いてみませんか?
『ひとはみな、ハダカになる。』の回収・絶版を求める要請書
理論社の中学生以上を対象とする「よりみちパン!セ」シリーズの中で、昨年、『ひとはみな、ハダカになる。』(
バクシーシ山下著)が出版され、私たちはこれを読んで愕然としました。
この本の著者、
バクシーシ山下の監督による
アダルトビデオ(以下AV)「女犯」シリーズ(1990~1991年制作・販売)は、AV人権ネットワークという市民団体から「犯罪の実録では?」として抗議を受けています。また
AV撮影の現場というものをよく知らない女性が暴力AVに出演して「身も心もズタズタにされる」実態をAV業界内部から告発した元男優のK氏は、ポルノ・買春問題研究会のインタビュー(2000年)に答えて、「特にバクシーシあたりのものに出たら(女性は)人間不信になったり、男性不信になったりする可能性もあります」と
バクシーシ山下を名指しで糾弾していました。
「強制子宮破壊」シリーズなどの撮影で女性を集団
強姦して傷害を負わせたため、2005年に関係者が逮捕・起訴され、有罪判決(懲役3年6ヶ月から18年)が下されたバッキービジュアルプランニング事件は、間接的にではありますが、山下の撮影の暴力性を端的に示しています。 AV撮影と称した集団
強姦現場を指揮した被告の1人であるディレクターは、この刑事裁判において「
レイプ作品で一世を風靡した
バクシーシ山下という監督は、よく逮捕されなかったと思うような作品である『女犯』を作っていたが、それを見て、すでにこれだけのものがあるのだから、私はどうしてもそれを超えたかった」という趣旨の証言をしています。このように
バクシーシ山下とは、女性を客体化、モノ化し男性の暴力下においた映像を“ウリ”にしている人物です。
このような、
レイプ強姦AVを得意としてきた
バクシーシ山下が、子どもたちに向けて書いたのが『ひとはみな、ハダカになる。』という本です。この本を置いている自治体の図書館の検索では、次のようないくつかの共通した紹介文が使われています。
子どもが
セックスを知ることに眉をひそめる大人がいる。でも、
セックスとかかわりなく生きていくなんて、不可能なんじゃない?
アダルトビデオをめぐるはなし
から、人がハダカになることをセキララに、かつまっすぐに考える。
「
アダルトビデオ」って知っていますか? はだかの女の人やはだかの男の人、そ
の人たちが
セックスしているところが映っています。そこがどんな世界で、どんな
大人が関わっていて、どんなことが行われているのか。
アダルトビデオをめぐる事
柄や物語から、ひとがハダカになることについて、まっすぐに考えていきます。
AVに対する子どもたちの好奇心を喚起する紹介です。また、この本の記述には、「だれでも」「ふつう」という表現が繰り返し使われており、子どもたちがこの本を読むことによって、バクシーシ山下のビデオの世界が抵抗なく入っていけるものであるかのように感じ、たとえば巻末に紹介のあるバクシーシのビデオ「女犯」を「見てみたい」と思ってもまったく不思議ではありません。
私たちはバクシーシ山下のビデオ(女犯2)を視聴してみました。それは予想をはるかに超えて、まさに凄惨な性暴力、性犯罪そのものの実写であると感じました。ひとりの女性が、AVに出演することがどんな実態を意味するのか分からず、騙されたに等しい状況で撮影され、拒絶しているにもかかわらず、凄まじい暴力と脅迫により輪姦されていくあり様は、視ている私たちの精神を尋常な状態に保たせることを不可能にしました。
おとなである私たちでさえも、身体症状が出るほどの心理的外傷を受けました。人格的に、性的に成長の過程にある子どもたちが、もしこの映像の暴力性に無防備にさらされたらどうなるでしょうか。性暴力・性犯罪の凄まじい現場を映像で見せられる衝撃が、子どもたちに深刻な影響を与えないはずがありません。児童虐待防止法では、家庭内で暴力を見て育つこと自体も、児童への虐待であると規定しています。この本を読んだ子どもが、バクシーシ山下のAVに興味を抱きそれを見たなら、虐待を受けた場合に匹敵する深刻な、心身に対する被害を受ける可能性が非常に高いと言わざるをえません。
今回の要請書で私たちが問うているのは、山下の映像が実写であるのか、演技であるのか、ではありません。女性をどのように扱っているか、その扱いが発しているメッセージの文脈や意味を問うています。山下AVは、複数の男性に取り囲まれた女性を男の圧倒的な暴力の元に無力化した挙句、いたぶり、陰惨な残虐行為を加えることを映像という形で商品化しているところにその特徴があります。だから、映像は最初から最後まで、女性をいかにいたぶるか、いかに残虐に扱うかに“工夫”がこらされています。女性を人として扱わず、女性の人格とその肉体を徹底的に侮蔑的・暴力的・破壊的に扱い、かつ、このような女性の扱い方と扱われ方を、視聴者の娯楽として提供しています。これは女性に対する重大な人権侵害です。
あなた方理論社の方々は、ご自分の子どもたちがこのような山下
AVを視ても良いと考えますか。
そしてこの本の最も欺瞞的なところは、バクシーシ山下が自らのビデオのこれほどまでの暴力性をまったく書いていないことです。「嫌々がまんしながらしょうがなくする
セックスもある」とバクシーシは書いていますが、拒否しているにもかかわらず暴力で強いられる
セックスとは性犯罪そのものに他なりません。彼は凄まじい暴力性を包み隠しているのです。
このように私たちはこの本が読者である子どもたちに対して、その深刻な暴力を覆い隠した上で、バクシーシ山下のAVに対する関心をかきたてていること、そしてそれを実際に見ることにより心身に重大な被害を生じさせる、現実的な危険性をもっていることに最大の問題があると考えます。
それに加えて、私たちが大きく問題にしたいのは、この本が理論社のシリーズの中の一冊として出版されたことです。理論社は、良質な児童書を出版しているという定評のある、“児童文学の老舗”でありました。「理論社の本ならば」という信頼が、社会にも親たちの中にも存在します。首都圏の図書館をあたってみたところ、理論社のシリーズの中の一冊として内容の吟味のないままに置かれていると思われる所も少なくありませんでした。親たちも理論社の本という安心感から見過ごすこともあろうと思われます。
理論社は、その信頼ある歴史ゆえに、この本を出版したことによって、バクシーシ山下という性暴力ビデオの監督がしてきたことに、結果的に正当性を与えているともいえます。そして、単行本として内容を吟味されれば親や図書館から購入を拒絶される可能性のあるものを、シリーズの中の一冊に加え、さらには理論社への読者の信頼を通じて流布させてきました。これは理論社の児童書を愛してきた読者の信頼をも裏切るもので、理論社の責任は大変大きいと考えます。
女性支援の現場には、性暴力によって受けた傷を長い長い歳月にわたって抱え、苦しんでいる女性たちがいます。また、アダルトビデオが家庭内での性暴力に使われ、AVの映像と同じような性行為を強要され、生命の危険にさらされて保護される女性たちも後を絶ちません。こうした性被害の実態を見るにつけても、子どもたちに対等な性の豊かさを伝えなければならない、子どもたちを新たな被害者、また加害者にもしてはならないと強く訴えたいと思います。
理論社が以上の問題に対する真摯な反省に基づき、『ひとはみな、ハダカになる。』を早急に回収するとともに絶版にすることを求めます。
理論社社長 下向 実 殿
呼びかけ団体
全国婦人保護施設等連絡協議会民営施設長会
(要請書代表世話人)
社会福祉法人 恩賜財団東京都同胞援護会 いこいの家 施設長 田口 道子
社会福祉法人 ベテスダ奉仕女母の家 いずみ寮 施設長 横田千代子
社会福祉法人 慈愛会 慈愛寮 施設長 細金 和子
社会福祉法人 救世軍社会事業団 東京都新生寮 施設長 高橋 真澄
社会福祉法人 救世軍社会事業団 救世軍婦人寮 施設長 伊藤 和穂
問い合わせ先:FAX03-3361-2771
*署名の送付先は:〒163-8799東京都新宿区西新宿1-8-8新宿郵便局局留、
全国婦人保護施設等連絡協議会民営施設長会宛、9月末日までにお願いいたします。
『ひとはみな、ハダカになる。』の回収・絶版を求めます
氏 名 住 所
ひとはみな、ハダカになる。【内容情報】(「BOOK」データベースより)
子どもが
セックスを知ることに、眉をひそめる大人がいる。でも、戦争や飢餓や病気とかかわりなく生きることは可能だけれど、セックスとかかわりなく生きていくことは不可能です。―なんてね。ホントはぜんぜん、興味本位で十分です。アダルトビデオ界の鬼才が伝える、世界でいちばん「ふつう」な特殊講義。
【内容情報】(「BOOK」データベースより)
子どもがセックスを知ることに、眉をひそめる大人がいる。でも、戦争や飢餓や病気とかかわりなく生きることは可能だけれど、セックスとかかわりなく生きていくことは不可能です。―なんてね。ホントはぜんぜん、興味本位で十分です。アダルトビデオ界の鬼才が伝える、世界でいちばん「ふつう」な特殊講義。
【目次】(「BOOK」データベースより)
第1章 ぼくの仕事は、
AV監督です/第2章 パンツをとれば、すべてが見える?/第3章 私をスカウトしてください/第4章 だれもがみな、ハダカになる。
【著者情報】(「BOOK」データベースより)
バクシーシ山下(バクシーシヤマシタ)
1967年、岡山県生まれ。
AV監督。大学在学中から
AV業界に足を踏み入れ、90年に『女犯』で監督デビュー。以降、社会的なタブーに触れる想定外の設定から個人のドキュメンタリーな日常にいたるまで、人間の等身大の姿に迫りながら「セックスとは何か」をあぶり出す
AVを撮りつづけている。監督作品に『ボディコン労働者階級』『全裸のランチ』『死ぬほどセックスしてみたかった』など多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
http://blog.goo.ne.jp/pop0808/e/9795b341984cb87b33041ef9afc39cf4