ニューヨークでの2カ月半の滞在を振り返ってみると、実にたくさん「
SEX」という単語を見聞きした。この現象は
ニューヨークを舞台にしたドラマ「
セックス・アンド・ザ・シティ(SATC)」スタート時の1998年に、市バスの車体にCMがデカデカと載って以来の事だと私は思っている。
このドラマの人気はすさまじく、ロケ地を巡るツアーは日米両方の女性に大受けだ。日系の旅行社も数社参入しており、その1つである「キュー・トラベル」では出演者のセリフをそらで言えるガイドを投入した「SATCスタイルツアー」を催行、日本のOLに大人気だという。
セックスの横溢(おういつ)ぶりは、例えば夜のトークショー司会者の
セックス・ネタはいつもの事だし、コメディアンのデイブ・シャペルも自分のショーで「
セックス、
セックス、
セックス!」と叫ぶほど。夜はいいとして、3大ネットワーク局NBCの朝の番組内の、「男性4人が
SEXの疑問にお答えします」という企画には少々驚いた。
10月28日に放映されたその企画では、ちまたの女性の
SEXに関する疑問に、スタジオの4人の男性が少々コミカルに、かつまじめに答えるという内容で、「メイキング・ラブ(メイクラブをする)」と「ハビング・
セックス(セックスをする)」のとは違う、などというコメントもあり、これが朝の番組か?と疑うほど。
「男性とはセックスの後、カドル(寄り添う、抱き合う)したくないのか」というよくある質問には「するけれど、女性が考えるほどには重要だとは思わない」と正直な答えが出た。
「恋人とのセックスが良くない(bad sex)けれどどうしたらいいか」には「次行こう!次」「すぐに不満を述べてどうやって欲しいのか言った方がいい」「そうだ、そうだ、僕らは言ってくれれば何でもやる!」と女性キャスターの前にはって行って靴を脱がせ、においをかぐパフォーマンス。うじうじせず実に単純明快だ。
「グッドセックスってどんなセックス?」となかなか定義しづらい質問には「パティシペート(参加)すること」「ミューチュアリティ(相互的である事{そうごかんけい})」「アクティブな事」「愛」「欲望、魅力、肉体的に強い事」「場所、時間がバッチリな事」と少々抽象的な面もあるが、つまりはやる気があり、お互いに求め合い、タイミングが良く、愛があればさらにけっこう、という事か。「愛がなくてもグッドセックスはできる」といい、「セックスがなくても幸せか」という問いには全員が「ノー!」と日本のセックスレス夫婦とはエライ違い。
マドンナが離婚したといえば、彼女はコントロール魔でエキセントリック、ワークアウトで疲れきって夫のガイ・リッチーとは18カ月間セックスをしていないなどとセレブの性生活までが取りざたされ、グッドセックスのためには腎臓を差し出してもいい、という本音かジョークかわからないようなアンケート結果があったり、雑誌ではひんぱんにセックスの特集が組まれ、あげくは勧誘電話に出て「興味がない」と答えると、今度は「君は結婚しているのか、性生活はどうだ」などと尋ねて来たり、全くニューヨーカーは積極的というか何というか、日本人だけでなく、田舎から出て来たアメリカ人も驚くような事がいっぱいなのだ。
こうした状況を「グレート!(最高)」と思うか「アンビリーバボー!(信じられない)」と思うかで
ニューヨークでのラブ・ライフ(愛情、性生活)はぐっと違ってくるだろう。次回はセックスの博物館についてレポートしたい。
http://news.livedoor.com/article/detail/3905997/