サッカーのイングランド代表の顔だったMFデビッド・ベッカム(31=Rマドリード)が、スティーブ・マクラーレン新監督から戦力外通告を受けた。この日発表された16日の親善試合ギリシャ戦メンバーから落選した。同監督から事前に新チームの構想に入っていないことを伝えられ、受け入れた。96年以来、10年にわたってイングランドを引っ張ったスターも、世代交代の波には勝てなかった。
イングランド代表としてのベッカムの一時代が終わりを告げた。マクラーレン新監督は11日午後の会見で、ベッカムに戦力外通告をしたことを明かした。優勝を期待されたW杯ドイツ大会で8強に終わり、同監督はチームの変革、世代交代を決意。その構想にベッカムは入っていなかった。
マクラーレン監督 7日にデビッドに伝えた。チームを変えたい、違う方向に持っていきたい。その中に君は含まれていないと。彼は私の話を受け止めてくれた。でも心から失望していたよ。
96年9月1日のW杯欧州予選モルドバ戦でデビューして以来、10年間代表を引っ張ってきた。正確無比なクロスとFKを武器にチームを幾度も救った。元スパイスガールズのビクトリア夫人との交際発覚後は、ピッチ外でも注目を浴び世界中の人気を集めた。先月の代表主将引退を受け、調査会社はFAが2000万ポンド(約44億7000万円)の収入減になると試算した。ただ英メディアは、右サイドを疾走する往年の姿がなくなったと衰えも指摘していた。
ベッカムは遠征先の米国から、オリベイラ代理人を通じ声明を発表した。
ベッカム 今週、監督と話をした。10年W杯南アフリカ大会に向け、自分の色を出して代表を強化したいという彼の気持ちを心から理解した。代表での10年間を誇りに思っているし、国を背負う情熱は今まで通り強く心に残っている。
代表引退とも取れる声明だが、監督には「自分のポジションのために戦い続ける」と意思を伝えた。現在代表で94試合に出場。「到達できれば素晴らしい瞬間になる」と言うように、イングランド史上5人目の100試合超えの悲願がある。監督も功績と実力を認め「決して扉を閉ざすことはない」とクラブでの活躍を促した。ただ記者に「もう100試合出場の可能性はない? 」と聞かれ「現時点では…」と口ごもった。代表復帰の可能性は低い。
代表発表が生中継されるなど、英国全体がベッカムの代表落ちに揺れた。マクラーレン監督の会見は、10年W杯南アフリカ大会に向け、ベッカムを切ってまで世代交代を断行するという強い意思表示にほかならなかった。フランスMFジダンの現役引退を筆頭に、ドイツGKカーンら世界を代表する選手たちが次々と代表を退いた。そしてベッカムも、自らの意に反し代表を追われた。世界のサッカー界に、新たな世代に移行する時代のうねりが押し寄せている。
ソース
テーマ : 欧州サッカー全般
ジャンル : スポーツ